南海トラフ地震の確率が高まる中、地震の前兆現象への関心が高まっています。近年ではさまざまな前兆現象の研究が進んでおりますが、地震の前兆現象は必ず起こるとは限らず、現時点では地震の前兆現象と科学的根拠に基づいていないものが多く、誤解や迷信をうむことも少なくありません。
この記事では、実際に訪れた東日本大震災の前兆現象や、実際にどのような前兆現象が観測されているのか、具体例も含め徹底解説します。
地震の前兆現象とは
地震の前兆現象とは、前駆現象や先行現象とも呼ばれ、震源域となる地域や周辺でさまざまな異常現象が発生することです。
しかし、これらの現象は地震以外にもさまざまな原因で起こる可能性があります。必ずしも地震の前兆現象と決めつけるのではなく、他の観測データと合わせて総合的に判断することが重要です。
東日本大震災の前兆現象
2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災では、さまざまな前兆現象が観測されました。以下に主な事例をご紹介します。
動物の異常行動
3月4日夜、茨城県でクジラ50等が浜に打上げられたり、カラスが、50羽ほど騒いだり、トンビが数十羽騒ぎながら飛んでいたと報告があります。
しかし、現時点では地震の前兆現象と科学的根拠があるわけではありません。地震が発生していない時も、こういった現象があります。例えば、天候の変化や、病気などさまざまな原因が考えられています。
地殻変動が見られた地域
- 宮城県沿岸部で地殻の隆起が観測
- 宮城県沖で小規模な地震が頻発
- 宮城県沿岸部で異常な高潮が発生
地殻とは
地震の話題のなかでよく耳にする「地殻」や「地殻変動」という言葉は、地震のメカニズムや発生を理解するうえで重要です。
地殻とは、地球の表面を覆う個体層で、人類にとって重要な資源を提供しています。
以下に詳しく説明された引用文を紹介します。
https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E6%AE%BB-95869
地殻変動
地殻変動は、地震以外では動かないと思う方がほとんどだと思いますが、5ミリ~1センチ程、毎日変動があります。
地震が発生する前に、電子基準点の位置が縦横斜めに異常変動し、4センチ以上の高さ変動が1週間見られた場合、ほぼ周辺で震度5弱以上の地震が起きる確率が高くなると報告されています。
以下は、東日本大震災実際に観測された地殻変動の事例です。
- 茨木県では、地震発生前の数年間で鹿島灘で地殻沈降が観測された
- 宮城県では、地震発生前の1年間で牡鹿半島で東方向に約50センチの地殻変動が観測された
- 福島県では、地震前の数カ月いわき市で隆起と沈降が繰り返し観測された
沈降傾向が続くことと地震発生との間には強い関係性があると言われています。また、地殻変動は地震以外に、活火山や地質構造などさまざまな要因によって起こります。
まとめ
地震の前兆現象は、地震発生の可能性を示す一つとして古くから関心を集めてきましたが、地震の前兆現象の科学的根拠であるものと違うものが混在しており、過信することはさけるべきです。
また、地震の備えとして、家具の転倒防止や、防災用品の準備など、日頃からできることが重要です。
この記事が地震への理解を深め、備えを充実させる一助となれば幸いです。